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2005年7月23日(土) 公害の原点「足尾鉱毒事件」の現場を訪ねる 栃木県足尾町
 2005年7月23日(土)、循環研フィールドワーク「公害の原点『足尾鉱毒事件』の現場を訪ねる」が行われました。
現地では、神山英昭氏(わたらせ川協会事務局長、足尾に緑を育てる会代表)に案内していただき、足尾鉱毒事件後の現状を見てきました。
▲足尾での集合写真
集合写真を撮りました。(一応、足尾製錬所をバックにしております。)
▲足尾銅山観光
足尾銅山の産業の歴史がわかる観光施設で見学しました。ちなみにこの人は人形です。
▲松木村跡(中の墓地)
足尾鉱毒の被害を直に受けた村で、現在はこのお墓のみが村の面影を物語っています。
▲松木村跡見学
一時は堆積場として使われましたが、現在は少しずつ緑化を行っています。
▲カラミ
松木村跡には、製錬所で出たカラミを約50年間投棄し続けたので、今でもこのようなカラミが山積とありました。
▲足尾に緑を育てる会 活動拠点地
関東近辺の学校がこの地で緑化課外活動を行い、少しずつ足尾に緑が戻ってきています。
▲足尾製錬所
ここから亜硫酸ガスやヒ素の煙害が起こりました。現在は、操業を停止しています。
▲間藤発電所跡
足尾が誇る近代産業遺産の一つですが、現在は川原に埋没しかけていました。
▲説明して下さっている神山氏
足尾についてたくさんのことを教えて下さいました。どうもありがとうございました。

▼報告
地球環境問題が声高に叫ばれ、持続可能な社会の構築が人類共通のテーマとなっている今、日本ではその原 点ともいえる足尾、水俣の公害問題について、今年最初の循環研セミナーで山口代表が講演をなさいました。本年度のフィールドワークは、かつての公害現場を 直接この目で見ることによって、より具体的に実感を得るようにしたいという想いで、第一弾の足尾鉱毒事件の現場である足尾町の日帰りツアーを行いました。

参加者11名は、8時に新宿駅からチャーターしたバスに乗り込み、一路足尾へ向かいました。関越自動車 道の伊勢崎ICを降り、国道122号を走っていくと、次第に渡良瀬渓谷の山深い景色が窓から見え、富弘美術館、草木ダムを過ぎると足尾の町に11時20分 頃到着しました。

わたらせ渓谷鐵道通洞駅前にある足尾銅山観光という観光施設(入場料¥800)には、足尾銅山の坑道内 や銅(あかがね)資料館の展示があります。観光用のトロッコ列車に乗ると昔の面影を残している坑道内まで運んでくれ、坑道内を皆さま思い思いに歩きまし た。時代ごとの坑道内の作業のやり方の移り変わりがよくわかる見せ方になっていたり、銅産業の歴史はよくわかるのですが、鉱毒事件の歴史などについては全 くわかりませんでした。
ここで昼食をとり、12時30分に案内をして下さる神山英昭氏(わたらせ川協会事務局長、足尾に緑を育てる会代表)と合流し、いよいよ足尾鉱毒事件の現場の見学です。
まずは、橋の上を走りながら(バスの中から)簀子端堆積場を眺め、松木村跡に向かいました。途中で、足尾製錬所を横目に眺めながら、足尾ダムに到着。さ らにその奥にある松木村跡にまで神山氏の案内でバスで行くことができました。おそらくここは、一般の人が入ることのできないところではないかと思われま す。神山氏がいたからこそ、特別に入ることができました。松木村は、製錬所から降ってくる亜硫酸ガスやヒ素の粉を浴び続け、蚕や馬までもを死に追いやら れ、25,000ヘクタールもの面積の草木が枯死しました。廃村になってから、1960年まで約50年間、カラミ(銅などを製錬するときに生じるカスを固 めたもの)の投棄場となっており、今でも草木がなく土が露出している部分が多々見られました。
それから、足尾ダムに戻り、足尾環境学習センター(入場料¥200)に入りました。ここでは、足尾の歴史、自然についての展示があり、松木村の煙害につ いてもふれられておりました。松木渓谷は、日本のグランドキャニオンとも呼ばれているそうです。
次に足尾に緑を育てる会活動拠点である大畑沢緑の砂防ゾーンに立ち寄り、そこから足尾製錬所がよく見えました。そこで集合写真を撮り、次は本山坑跡まで行きました。
1884年に有木坑が開発されるのと同時に、鉱業所、選鉱所、製錬所、医局などの施設がおかれ、本山小学校の前身となる学校が設けられたりして、本山は 北部地域最大の集落にまで発展したそうです。しかし、1973年に足尾銅山が閉山したことにより、その年の8月には無人となったそうです。今でも杉菜畑山 神社はあるそうですが、鳥居から先は橋が落ちかけていたりと危険なので進めませんでした。
次に間藤発電所跡を見学しました。ここには、水圧鉄管と川原に埋没しかけている発電所跡があるのみでした。
次に選鉱場跡を車から眺めながら、中才浄水場を木々の間から覗き見し、足尾銅山観光に戻ってきて、1日案内して下さった神山氏とはここでお別れをしました。とてもわかりやすいご説明、本当にありがとうございました。
16時30分頃に足尾を出発し、途中で千葉北西部でおきた大地震の様子をラジオで確認しながら、予定時間1分オーバーの20時1分に新宿西口に到着して、解散しました。

帰りのバスの中で一人一人から述べていただいた感想は、「公害の跡をもっと残し、展示していくべき だ」、「植林緑化活動に参加して、自ら汗水流して苦労をして公害のつらさを実感したい、そしてそれらを小学生などにやっていただくことによって、公害の悲 惨さが伝わっていくのではないか」、「銅山閉山後、約30年経ってはいるがまだ公害の爪跡があんなに残っているとは思わなかった」、等々が挙げられまし た。
また、神山氏が最後に「公害の現状を知りたければ、データなどは現場よりも東京の方にたくさんある」ともおっしゃっていました。現場に出ることによって 全てがわかるわけではなく、それは始まりにすぎず、そこからいろいろと文献等々で詳しく調べていくことによって、より公害の原点にかえることができるので はないかと実感しました。

第二弾、公害の原点を訪れるシリーズは、戦後の四大公害事件の一つである水俣病の現場を訪れる予定です。また詳細が決まりましたら、ホームページ等でご紹介致しますので、よろしくお願い致します。

文責:事務局 大澤由紀子

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