HOME >> フィールドワーク >>「土づくりとまちづくりの現場を訪れる」

フィールドワーク

月日 テーマ 場所
2006年9月20日(水) 土づくりとまちづくりの現場を訪れる 栃木県高根沢町

今回は、循環ワーカー養成講座の第3回目「土づくりとまちづくり」で舞台となりました栃木県高根沢町を訪れました。高橋克法町長の下、「手間、暇、かけ て」を合言葉に、生ゴミの分別収集・堆肥化、その堆肥を利用した農産物の直売など、地域循環型社会の構築をめざす現場を見学してきました。→ 栃木県高根沢町の地図

■プログラム
08:00  ブリヂストンビル前(東京駅八重洲口から徒歩5分)集合。貸切小型バスで栃木県高根沢町に出発
10:10~12:00 エコ・ハウスたかねざわ(環境教育施設)見学
12:00~12:10 JAたんたんプラザ光陽台(農産物直売所)見学
12:30~13:50 元気あっぷむら(温泉テーマパーク)見学・【昼食】
14:00~14:40 高根沢町土づくりセンター(堆肥化施設)見学
14:50~15:40 キリンビール栃木工場見学(環境への取り組みを見学後、試飲)
18:45  帰りのバスの中で皆さま感想を述べ、東京駅で解散

▼報告
今回の参加者は総勢11名。平日の朝8時に東京駅八重洲口前の八重洲通りに貸切小型バスに駐車し、参加者の皆さまが集合時間通りに集まってくださったので、予定よりも10分早めに出発。
首都高速道路→東北自動車道→北関東自動車道を経由し、宇都宮上三川ICから国道4号線を通り、高根沢町に入りました。

1.エコ・ハウスたかねざわ(10:10~12:00)
予定よりもやや早めに到着。高根沢町役場環境課の熊田彰夫さんやNPO法人とちぎボランティアネットワークの増田茂さんたちが出迎えてくださいました。
エコ・ハウスたかねざわは、「環境」をテーマにしてさまざまな取組を行っている環境教育施設です。太陽光発電、雨水利用、屋根面緑化などの設備があり、 間伐材や廃ガラスなどのエコ材料がふんだんに使われています。ボランティア活動の拠点 となっており、環境に関するイベント開催、リサイクル品代行販売、資源回収など、おもしろいところでは、犬のしつけ教室なども行って いました。
エコ・ハウスたかねざわは、NPO法人とちぎボランティアネットワークが高根沢町から指定管理者の指定を受け、管理運営をおこなっています。
ここで、私たちは増田さん(NPO法人とちぎボランティアネットワーク)と熊田さん(高根沢町環境課)からおもしろいお話をたくさん伺いました。
熊田さんは、町長譲り(?)の雄弁なしゃべり方でいろいろと裏話も交えながら、貴重でタメになるお話をしてくださいました。このエコ・ハウスたかねざわ は、熊田さんの高根沢町や環境に対する熱い思いから実現していった施設なんだそうです。
増田さんは、このエコ・ハウスたかねざわの管理運営を役場からやれと言われてやっているのではなく、基本計画には従いながらも、そこまでのプロセスは自 分たちのやりたいようにやらせていただけるということから、とても楽しく活動をなさっているようです。
お二人とも、役場とNPOという立場は違えども、お互いがお互いの立場を理解しあって、まさしく協働してよい関係を築きあげていることがとてもよく伝 わってきました。お二人のお話には、本当に感動しました。ありがとうございました。

▲エコ・ハウスたかねざわ
わかりづらいですが、屋根が緑化されていました。
▲左から増田さん(NPO法人とちぎボランティアネットワーク)、熊田さん(高根沢町環境課)、鈴木さん(高根沢町環境課)です。お世話になりました。 ▲貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。どうもありがとうございました。
▲展示・情報室には、リサイクル用品が所狭しと陳列されていました。それなりの売上げがあるそうです。 ▲環境学習室には、たくさんのクラフト作品などが展示されていました。 ▲高根沢町立小中学校の生徒さんたちが給食用牛乳パックをリサイクルし、巡り巡ってトイレットペーパーになっているそうです。いただきました。
▲油・サイクルせっけん。廃食用油サイクルせっけんグループ「しゃぼんだま」が作っているそうです。いただきました。

2.JAたんたんプラザ光陽台(12:00~12:10)
この施設ができたきっかけがとてもおもしろかったです。高根沢町では、廃棄物の資源化により、堆肥をつくっているのですが、その堆肥を農業者に使ってい ただいて、できた農作物を学校給食で提供していたそうです。
とある町内行事に高橋町長が参加していたら、雷が轟きはじめ、みんながテントに避難したそうです。(高橋町長は 「雷を呼ぶ男」と言われているらしいです。)高橋町長はお母様方が避難したテントに運良く(?)入ってしまい、そのテントの中でお母様方といろいろなお話 をされたそうです。一人のお母様に「学校給食がおいしいとうちの子どもがいっているのだけれども、その野菜はどこで買えるの?私たちには買えないの?」と 言われました。高橋町長は、「これだ!」と思ったそうです。
役場が施設を作りましたから、この施設を使って農産物を売るので皆さま買ってください、と役場が押しつけた施設ではなく、消費者からの要望があったから こそできた施設、それがこのJAたんたんプラザ光陽台、というわけです。
私たちはお昼の時間帯に行ったのですが、もう商品はほとんど売れきれ状態。朝、農家がJAたんたんプラザ光陽台に商品を並べにくるとお客様がすでに待っ ていて、陳列を自主的に手伝ってくれるそうです。実は、陳列を手伝いながら商品の品定めをしていて、いい物からあっという間に買っていってしまうのだそう です。

▲JAたんたんプラザ光陽台 ▲お昼には、もう売れ切れ状態。

3.元気あっぷむら(12:30~13:50)
この施設は、温泉施設や宿泊施設、レストラン、直売所、そば打ちや炭焼きなどが体験できる施設となっています。「高根沢町にはお城がない!(高橋町 長)」ということで、お城のような形をした施設になったそうです。
私たちはここの「郷土料理あやめ」というおそば屋さんで、お昼をいただきました。おススメは、この元気あっぷむらにある「雪花菜(きらず)」という地元 の大豆を使ったお豆腐屋さんで作っているざる豆腐(\300)。あたたかくて、甘くてとてもおいしかったです。
農産物直売所では、みんなおいしそうな農産物をたくさん買い占めていました。まるで、買い物をしに来たみたいでした。

▲元気あっぷむら。お城のような構えになっていました。 ▲農産物直売所で、みんなたくさん買い込んでいました。袋が足りない~と嘆いている方も・・・。 ▲炭焼き場。高橋町長の趣味も炭焼きのようです。みのもんたさんが花粉症には竹酢液が効くと言った次の日の竹酢液の売れ行きはすごかったそうです。
▲郷土料理あやめの人気商品。冷やしたぬきそばと天丼セット。

4.高根沢町土づくりセンター(14:00~14:40)
この施設では、酪農で出た家畜の排泄物や農家からでたもみがら、また消費者から出る生ゴミを専用の生分解性のごみ袋で出していただき、これらを合わせて堆肥化していく施設です。
「遠くからでも目立つような施設に(高橋町長)」ということで、田んぼの中に黄緑色の施設が目を引きます。この施設に、よくよそからの貸切バスが向かっ ている姿を周辺住民に見せることによって、「なんだかよくわからないけれども、よそからもわざわざ見にくるようなすごい施設なんだな~」ということが周辺 住民に伝われば、役場としては万々歳なんだそうです。
この施設では、古口志郎さんにご説明いただきました。
この施設に廃棄物が搬入されるのは午前中なので、大体の行程は私たちが訪れた午後には終わってしまっていました。一番記憶に残っているのは、とにかく 「におい」。堆肥化の行程で出される臭気は、ジオライトという多孔質な土玉のようなもので吸収しているようですが、まだまだ改善の余地はありそうです。

▲黄緑色の建物が田んぼの中に建っていました。確かに目立ちました。 ▲黄緑色の建物の中は、こんな風になっています。写真からは伝えづらいですが、ものすごい臭気でした。 ▲これが土づくりセンターで作られる堆肥です。
▲ジオライトです。これが臭気を吸収してくれているのだそうです。 ▲たんたんくん。この袋に堆肥を入れて、一般家庭などにも配布しているそうです。 ▲土づくりセンターでいろいろと説明してくださった古口さん(真ん中の人)。ありがとうございました。

5.キリンビール栃木工場(14:50~15:40)
この施設は、1995年に再資源化100%を達成し、廃棄物を一切出していないそうです。リサイクルできるものは全てリサイクルし、その他社員が出したゴミは全てお持ち帰りするのだそうです。
ここでの目的は試飲・・・ではなく、キリンビール栃木工場の環境に対する取組みを見学するためです。時間がなかったため、キリンビールの「うれしい」の 提供の理念、容器のリサイクルの工程の説明、おいしいビールの注ぎ方、試飲などで終わってしまいました。

▲きれいなお姉さんがキリンビール栃木工場での環境に対する取組みなどを説明してくださいました。ありがとうございました。 ▲試飲中1。集合写真を今回撮り忘れたので、一応これが代わりになればと・・・。 ▲試飲中2。1と2を併せて集合写真ということで。お願いします。
▲おいしいビールの注ぎ方。 ▲最近やたらと飲酒運転が話題となっております。皆さま気をつけましょう。

6.帰りのバスの中で
参加者の方々に各々感想を述べていただきました。
「エコ・ハウスたかねざわの取組みを住民に理解してもらうためのおしみない努力など、勉強になった。」 「エコ・ハウスたかねざわのような施設で活気を感じるのは大変珍しい。地元外のNPOを指定管理者に指定するとは感心した。土づくりセンターのように堆肥 化する構想は、各地域によってデータを分析してから実行しないと、どこの地域でも成功するとは限らないと思った。」「エコ・ハウスたかねざわのように、実 際に作業できる施設はまちづくりに必要だ。安くていい野菜が買えてよかった。」「行政と消費者、生産者のパートナーシップのよい成功例だった。」「高橋町 長の思いが、地域住民、子どもまで方向を示させたことがすごい。このエコシティをどう都会で活かせるかが課題だ。」「エコ・ハウスたかねざわが地域外の NPOを指定管理者に指定した経緯をもう少し詳しく聞きたかった。高橋町長の指導性が大きいカギだと思った。」「元気あっぷむらは、あれだけのお金を投じ ているのならば、もう少しいろいろとできるのでは?と思った。」「魅力ある町をつくるには、町長の指導性とそれを支える市民の力が必要だと感じた」
エコ・ハウスたかねざわでの取組みにみんな、刺激を受けたようです。いろいろな収穫を得られたフィールドワークになったと思います。循環研のこれからの活動にもいろいろと活かせる ヒントがあったのではないのでしょうか。
最後に、高根沢町をいろいろとご案内してくださった高根沢町役場環境課の熊田さん、鈴木さん、そして、エコ・ハウスたかねざわの増田さん、土づくりセンターの古口さん、本当にありがとうございました。
高根沢町での土づくりとまちづくりの詳細な取組みは、循環ワーカー養成講座の第3回目「土づくりとまちづくり -栃木県高根沢町での試み」の報告 (後日発行の「Junkan通信」にて)をお読みください。

文責:事務局 大澤由紀子

CONTENTS

TOP
■主な活動の内容
セミナー
フィールドワーク
ワークショップ
オピニオン(提言)
■循環研について
役員紹介
定款
活動履歴
■入会のご案内
個人用登録フォーム
団体用登録フォーム
■出版物のご案内
循環研通信
循環ワーカー養成講座記録集
循環研関連書籍
リンク